旅を終えたスティーブンスはどんな生き方をするのだろうか。 小説では「ユーモアを勉強してご主人をびっくりさせよう」と考える。 「人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方が一番いい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一日で一番いい時期だって言うよ」, 「真実が含まれている」ととるのか、「いやそうではない」ととるのか、大きく分かれるところ。. for  a  great  many  people,  the  evening  is  the  most  enjoyable  part  of  the  day. この映画では、隠し扉や台所の調理場面が出てきた。ああ、これがそうか、と小説の説明が映画となると、私にはよくわかった。, 上の場面は最後の部分。桟橋に座っていると、日暮れとともに桟橋の街灯が一斉に着く。小説と映画の違うところは、原作は執事のスティーブンスただ一人だったが、映画ではメイド頭のミス・ケントン(結婚してミセス・ベン)と二人でその様子を見ている。 Perhaps,  then,  there  is  something  to  his  advice  that  I  should  cease  looking  back  so  much,   that  I  should  adopt   a   more    positive  outlook  and   try  to  make  the  best  of  what  remains   of  my  day.

The  evening’s  the  best  part  of  the  day. 伝説とされるリンキンパーク「LIVE at テルアビブ」での、ボブ・マーリー『NO WOMAN NO CRY』から『The Messenger』へのメドレーですね…, あのライブでは、『The Messenger』のイントロ最中にギターのブラッド・デルソンとボーカルのチェスター・ベニントンが内緒話をして、急遽『ノー・ウーマン・ノー・クライ』が歌われた…, チェスターは『ノー・ウーマン~』を歌い出した。すると観客は、突然のことにまず驚いて、それから大きく喜んだ…, I remember when we used to sitIn the government yard in Trenchtown…, でも観客は歌詞の続きを歌わずに、サビの「no woman no cry」を繰り返す。, チェスターは笑いながら「beautiful」とだけ言い、『The Messenger』を歌い始める…, Oba - obaserving the 'ypocritesAs they would mingle with the good people we meet, 「善人面した奴らが、善良なる人々の中に紛れ込もうとするのを、俺たちは監視してるんだ」, つまり「公安がファンのふりして紛れ込んでるぞ!」ってことをチェスターは観客に歌わせようとしたんだね…, このライブがあった頃は、イスラエルがガザ地区を空爆したこともあって、国際世論だけでなく、イスラエル国内でも和平派が大規模な反対運動をしたりとピリピリしてる状況だったんだ…, だからリンキンパークのライブにも、公安当局が紛れ込んでいたのかもしれない。彼らの歌はメッセージ性が強くて、聴く者の魂を大きく揺さぶるからね…, そしてチェスターは敢えて、ボブ・マーリーがエルサレムの「嘆きの壁」のことを暗喩的に歌った『NO WOMAN NO CRY』を歌い、ライブ会場の状況にも当てはまる歌詞の一文を観客に振った。, 執事長スティーブンス(主人公)女中頭ミス・ケントン(結婚後はベン夫人)館の主人ダーリントン卿(英国の大物貴族)新しい主人ファラディ氏(アメリカ人の富豪)(映画版はファラディ氏がルーイス氏に変更), 『日の名残り』は、ダーリントン・ホールでの過去の物語と、スティーブンスの「現在」の旅の物語が交互に描かれています。, そして表向きのストーリーとは別に、全体を通して「ユダヤの歴史」と「神としもべ論」が描かれています。ダーリントン・ホールでのシーンは「大英帝国の紹介」を兼ねており、コーンウォールへの自動車旅行は「イスラエルの紹介」を兼ねている仕組みになっていました。, 小高い丘に登ったスティーブンスは、絶景パノラマビューに感動するのですが、これはモーセがヨルダン川東岸のネボ山に登り、「約束の地」を見渡した時のシーンに重ね合わせているんですね…, 「約束の地」である「イスラエル」というのは、イサクとリベカの子であるヤコブに与えられた名でした。それは「偉大なる神の勝者」を意味します。ヤコブが天使とレスリングをして勝ったことで与えられた名前なんですね。, カズオ・イシグロは「イスラエル」という名前が「大袈裟な名前」だけど「その国土にふさわしい」と、「グレートブリテン」を使って説明しているんです…, ちなみに「ネリー」という名前は、ユダヤ人の作家でノーベル文学賞を受賞したネリー・ザックスから取られている。, ナチス・ドイツの迫害を逃れてスウェーデンに亡命し、ユダヤ民族の悲嘆を描いた多くの作品を残した。1966年にノーベル文学賞を受賞したんだけど、その受賞理由は「イスラエルの運命を伝える優れた詩と劇作に対して」だったんだね。代表作は『エリ ー イスラエル受難の神秘劇』だ。, 主人公スティーブンスは「ガリラヤ湖」の投影である「モーティマーズ・ポンド」に行って「ある集団」を見かけるんだ…, 乗っていたフォードのラジエーターの冷却水が切れて、スティーブンスは近くの屋敷に助けを求めた。屋敷から現れた男は、この館の主である大佐の従卒だったという。, この男がラジエーターに水を注いでくれるんだけど、彼はきっと「洗礼者ヨハネ」のことだよね。, さて、元従卒の男の話では、「大佐」は近所の池に釣りに出かけているという。美しい池だから、ぜひ行って来いって言うんだね。そしてスティーブンスは言われた通りに見に行った…, そしてスティーブンスは「否認」について思いを巡らす。すっかり「イエス」モードだね。この夜は「馬車屋」という宿に泊まる。, ちなみに、この宿の酒場でスティーブンスは「刻を告げるめんどり」のギャグをかます。やかましい女将さんのことを言ったんだけど、まったくウケなかった。その後にスティーブンスは、あのギャグが誤解を招いていないか気にする。女将さんの顔が「めんどり」に似ているって誤解されたんじゃないか、って。, これは英国の政治家グラッドストンの逸話が元ネタだ。グラッドストンは、スティーブンスのモデルであるユダヤ系首相ディズレーリ最大のライバルだった。ビクトリア女王はディズレーリを寵愛する一方で、グラッドストンを露骨に冷遇した。, いちおうイエスがエルサレムに入城する際に乗っていたロバに喩えたんだ。女王が「大英帝国という巨大な存在を黙々と背負っていた」という意味で。でもこれは建前だね。真意はやっぱり違う。うまいよね。, スティーブンスは「ガス欠」で車を乗り捨てて、例の不思議な村モスクムに泊まることになる。, 二日目の「ラジエーターの水」だったり、三日目の「ガス欠」だったり、車のトラブルには全て「理由」があったんだね…, さて、モスクム村では村人と「品格」問答を繰り広げる。村人たちは、誰にでもわかる「何か」がスティーブンスにあるって言うんだね…, これはスティーブンスが「ユダヤ系」だと、「目のある人なら誰でもわかる」っていうことなんだよね。, 誰々には「ある」とか「ない」とか言っている「品格」っていうのは「ユダヤ人の特徴」のことを言っているんだよ。, そして4日目は、目的地コーンウォールに到着する。コーンウォールとはエルサレムのことで、ミス・ケントンとの面会場所ローズガーデン・ホテルは「嘆きの壁」のある「神殿の丘」を指していた。, ユダヤ教では金曜日が安息日だからね。あえて5日目を飛ばすことで「主人公はユダヤ系である」ということを臭わせているんだ。, 小説版では、食堂は「母屋」ではなく、建て増しされた「細長い平屋」…つまり「嘆きの壁」にあった。, アブラハムが息子のイサクを神のために捧げようとした台であり(イサクの燔祭)、ダビデ王がこの岩の上に契約の箱を納め、ソロモン王はこの岩の上にエルサレム神殿を建設した。, そしてムハンマドは、この岩の上から大天使ガブリエルに導かれて宇宙を旅し、アッラーのもとへ至ったんだ。, 主人公スティーブンスが「ミス・ケントンに秘密を知られているかどうか確かめに行く物語」のね…, ちなみに「Kenton」って名前なんだけど、「ken」という単語はスコットランド方言で「知っている」って意味なんだ。そして「kent」はその過去形で、「kent on」とは…, Blue moon, you saw me standing aloneWithout a dreaming my heartWithout a love of my own, Blue moon, you knew just what I was there forYou heard me saying a pray’r for Someone I really could care for, And then there suddenly appeared before meThe only one my arms will ever hold I heard somebody whisper ”Please adore me”And when I looked, the moon had turned to gold, Blue moon, now I’m no longer aloneWithout a dreaming my heartWithout a love of my own, 主に女性が「愛してる」って言うときに好んで使う言葉やけど、そもそもの意味は「(神に対する)崇拝」や…, つまりムハンマドのことだ。ムハンマドが大天使ガブリエルに導かれるシーンそっくりのシチュエーションなんだよ。, すぐ隣にあるので、写真によっては「岩のドーム」の陰になって見えない場合もある。さっき提示した「神殿の丘」と「ローズガーデン・ホテル」の対照図みたいにね。, ちなみに、スティーブンスとミス・ケントンが別れたバス停も、ここ「神殿の丘」にあるドームの1つがモデルになっている。, 神殿の丘の広場にある大小様々なドームの中で、ひとつだけぽつんと遠くに離れているドームだ。, 確かに「タイル葺きの屋根」があって「頑丈な石造り」で、しかも内部は「ペンキが剥がれ落ちてる」みたいに見える…, カズオ・イシグロは、コーンウォールと「神殿の丘&嘆きの壁」を完璧に重ね合わせているんだ。, 雨が降るのも「嘆きの壁」だからなんだよ。あの壁は元々アラビア語で「 el-Mabka」と呼ばれていた。これは「涙の場所」という意味なんだ。, そしてこの『ブルー・ムーン』という歌が映画版『日の名残り』に使われたのは、こんな風にも解釈できるからだ…, 1番蒼き月よ あなたは見ていたのですね私がひとりで立っていたところを希望を失い 主の愛を見失っていた姿を, 2番蒼き月よ あなたは知っていたのですね私がそこで何をしていたのかを私が心から欲するお方に対してひとり祈りを捧げていたことを, Cメロ突然それは私の身の上に起こった私が手を放すことのない唯一の存在そして私は囁くような声を聞いた「私を良き父だったと言ってくれ」見上げると月は金色に輝いていた, 1番で「蒼き月」が「見ていたもの」とは、スティーブンスのお父さんが、三階の窓から見える庭で、頭を下げて石畳の出っ張り部分を注視していた姿のことだ…, そして2番で「蒼き月」が「知っていたこと」とは、それが「祈り」を捧げている行為だったということ…, 松本清張サスペンス『家政婦は見た』シリーズ同様に、『日の名残り』も女中頭ミス・ケントンが「秘密」を覗き見てしまったことで、さまざまなドラマが巻き起こるわけだから…, そして、もしかしたら「ミス・ケントン」という名前にも『家政婦は見た』の影響があるのかもしれない…, さっき「kenton」はスコットランド方言で「~を知っていた」を意味する言葉やっちゅうことを説明したやんけ!, だけど、さらに「ミス・ケントン=秘密を知る女」説をダメ押しする証拠が『家政婦は見た』に隠されている。, カズオ・イシグロは『家政婦は見た』の石崎秋子から『日の名残り』のミス・ケントンを生み出した…, イギリスで「この小説は『家政婦は見た!』が元ネタなんです」なんて言っても、変な日本人扱いされるだけだろうから…, 『日の名残り』の登場人物の名前や言動は、すべて「何らか」のパロディや駄洒落になっている…, 日本人はすぐに「先生、先生」って奉るけど、大作家先生が高尚なジョークしか言わんと思うたら大間違いや…, そして「ペニンシュラ」は、ケント州の東半分が、ドーバー海峡に面した「半島」を形作っていることを指す。, ジミー・クリフの『Many Rivers To Cross』で有名な白い崖「ホワイトクリフ」もケント州にあるんだ。, 英語の「autumn」には「成熟期・衰退期」という意味もある。秋は冬へと向かう季節だからね…, ドーヴァー海峡を渡ってフランスからイギリスに入って来た言葉で、もともとはラテン語で「収穫期」を意味する言葉だった。, 「成熟期・衰退期」を意味するっちゅうのは、『日の名残り』的にも、ぴったしカンカンやんけ!, 普通「秋」と言われると、「冬」へと向かう季節、つまり「衰退」とか「凋落」の始まりをイメージする。, 『日の名残り』の中の「夕方」も同じ目的で使われている。読者に「物事の終わり」をイメージさせるためだ。, スティーブンスのオッサン…やのうて、カズオ・イシグロはんは、これのこと言うてるんや!, しかし、スティーブンスは「下ネタは下品」みたいなことを言ってたくせに、「私の例にならってとくに休暇をとらないまま過ごす」とか真面目な顔して言っちゃってて笑えるよね。, さて、「ブルーム―ン」とは元々「3か月の間に4度満月があった場合の3度目の満月」を指す言葉だったんだ。, ミス・ケントンは「六週間で二日休む」さかい、ほとんど「ブルー・ムーン」やったわけか…, ノーベル文学賞を受賞した日系英国人作家カズオ・イシグロの代表作『日の名残り』を、小説版と映画版の違いの理由などを交えて徹底解説しています。世界一のネタバレ記事となっていますので、読まれる方はご注意を。, 「MOON あなたは知ってるの?MOON あなたは何もかも…」~カズオ・イシグロ『日の名残り』徹底解説・第7話.

【ネタバレ感想】映画「ミッドサマー」狂気のホラーに希望が持てる最強のヘン作【実話か検証】, 映画『ヘイト・ユー・ギブ』現実の人種差別を描写!「Black Lives Matter」の意味, 続編は公開されるのか?!林遣都出演の映画「悪の教典」のあらすじと作品紹介(ネタバレあり), えっこれ実話?

小説のクライマックス.

映画「日の名残り」は、カズオ・イシグロによる英国ブッカー賞受賞の同名小説が原作の1994年日本公開作品。監督は、ジェームズ・アイヴォリー(「君の名前で僕を呼んで」脚本、「眺めのいい部屋」監 … https://www.otsuma-tama.ed.jp/principal/20377/, なるほど、そういった意味もあるのか。前作の「浮き世の画家」のタイトルと同じように「多義的な意味」をもたせたタイトルのようだ。, 小説と映画の違いを論じたブログや、この小説の持つパロディ性、ブラックジョークについて解説したものなど、さすがノーベル賞受賞の作家による作品となると多くの分析や評論があるものだ。, 私が関心を持ったのは貴族の生活だった。大邸宅、執事やメイドのいる生活はどんなものなのだろう。身分が世襲制だった日本の武士の生活と似ているのだろうか。, 上の写真は映画の最初の方にある「狐狩り」の出発シーン。ヨーロッパの小説に出てくる「狐狩り」ってこんなのかー、と感心したり、, 暖炉のマキの用意をする使用人。昨年ウィーンに行ったとき、宮殿の見学をしたときに現地のガイドさんが言っていたことを思い出した。 この小説のクライマックスは二つあります。 一つは対独政策を緩和するためのインフォーマルな国際会議の最終日の晩餐会で、 フランス代表がアメリカの政治家が会議の間中に彼の部屋で周囲の人の讒言をしていたことを告発します。 今回は、2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの小説を原作とした、同名の映画をご紹介します。, カズオ・イシグロさんは、長崎県出身の日系イギリス人小説家で、この「日の名残り」という長編小説でイギリス最高の文学賞であるブッカー賞を受賞しています。, 私は、全国の映画館で開催されている「午前十時の映画祭」のラインナップに上がっていて初めて、この映画を知りました。, とあるイギリスの侯爵の屋敷で、執事として勤める主人公のストイックさ、そして世界を揺るがす大きな出来事に知らないうちに飲み込まれていく様が、繊細に描かれていて、大変見ごたえがあります。, 原作と映画では、あらすじや描き方に一部違いがあるものの、ノーベル文学賞という最高レベルの書き手によるストーリーはこんなにも繊細で、気品に満ちているのか!と舌を巻きました。, 1958年。イギリス、オックスフォードにある貴族の屋敷「ダーリントン・ホール」は、主人が死去した為、売りに出されています。, この物語の主人公であるジェームズ・スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)が、執事としてその生涯を捧げてきた屋敷です。, 売りに出された屋敷は、アメリカ人の富豪が、居残った召使いたちも含めて買い取ることになりました。, ですが、大半の召使いたちは既に家を出ており、スティーヴンスは人手不足に悩んでいました。, ちょうどその頃、スティーヴンスは、昔、一緒に働いていたミス・ケントン(エマ・トンプソン)から手紙をもらいました。, 手紙の中で、ミス・ケントン(現在は結婚してベン夫人)は、自分の離婚への意志をほのめかしています。, スティーヴンスは、ミス・ケントンが有能だったこともあり、そして個人的な感情もあって、彼女にまた一緒に働いてもらえないかどうか確かめるべく、会いに行こうとします。, 1920年代、スティーヴンスは、駆け落ちした女中の穴を埋めるために、ミス・ケントンと、自分の父親でベテラン執事のウィリアムを雇い入れます。, ウィリアムは、ベテランではありながらも、昔のようには体が動かず、仕事中に様々な粗相をしてしまいます。, ミス・ケントンは、そのことにいち早く気がつき、息子であるスティーヴンスに報告します。, そんな中、屋敷の主人であるダーリントン卿は、第一次世界大戦後のドイツの復興に手を貸す為、屋敷に各国の要人を招いて国際会議を行います。, ダーリントン卿は、かつてドイツ人の友人がいましたが、戦後の経済難によってその友人が自殺してしまったことを悔いていました。, そう言った経緯もあり、個人的な心象としてもドイツの復興に手を貸したいと考えていたのです。, 会議の中で、ドイツの要人がドイツの復興支援に手を貸すよう呼びかける中、アメリカ人の青年だけは、アマチュアな判断をしないよう、つまりドイツに手を貸さないよう呼びかけます。, (ちなみにこのアメリカ人青年が、映画の冒頭で、のちにこの屋敷を買い取った大富豪です), そんな重要な国際会議の最中、ウィリアムは、倒れてしまい、そのまま病床で亡くなります。, スティーヴンスは、執事としての仕事を全うするために、亡くなった父に構うことよりも、主人に仕え、会議での給仕に徹します。, ダーリントン卿は、ナチス・ドイツの方針に従って、ユダヤ人の女中を解雇するように、スティーヴンス達に迫ります。, スティーヴンスは、主人の言う通り、彼女達を解雇するようにミス・ケントンに指示します。, そうこうしているうちに結局、ユダヤ人の女中達は、屋敷を出て行かざるを得なくなってしまいます。, 2年後に、ダーリントン卿は、その誤りに気がついて、辞めさせた女中達を探すようにスティーヴンスに言います。, 画像出典:https://philosophyforchange.wordpress.com/, そのことを最後の賭けとして、スティーヴンスに伝えますが、祝いの言葉を述べられただけで、何の手応えもありませんでした。, ですが、ミス・ケントンは孫が生まれるので、女中の仕事をしに屋敷に戻るのは無理であることをスティーヴンスに伝えます。, 旅の帰り道、スティーヴンスは市井の人々と触れ合い、戦争で息子を亡くした人や、自分の仕えていたダーリントン卿を親ナチスとして非難する人びとに出会います。, ダーリントン卿は、戦争終結後に戦犯のように世間から批判され、そのまま亡くなっていました。, スティーヴンスは、屋敷での会議など、客の会話は仕事の妨げになるので、耳にしないようにしていたし、自分はただ主人に仕えただけだ、と人びとに話します。, そしてまたスティーヴンスは、アメリカ人の富豪が新しく主人になった屋敷に戻り、執事としての人生を全うしようとします。, 調度品から、登場人物達の衣装に至るまで、神は細部に宿る!とでも言わんばかりの美しさです。, 余談ですが、イギリスは霧が多く、天気がいい日が多いとは決して言えないので、そのことを自虐する方も多くいますね。, 元々の原作の方は、ブラックジョークに満ちていて、かなり笑えるそうですが、映画の方でも所々でその片鱗がのぞけます。(基本的には、映画はシリアスなトーンではありますが…), この映画で重要な役割を果たすダーリントン卿は、実在の人物がモデルだと言われています。, チェンバレンが当時、ナチス・ドイツに対して宥和政策を行なっていたのも事実ですし、それが元で「弱腰」などと批判されていたようです。, あくまで原作の小説はフィクションですので、史実そのものを描いたわけではありませんが、かなり似ています。, チェンバレンが首相を退いた後に首相の座に就いたのが、あの有名なチャーチルですが、どちらかと言うと、チャーチルの方がナチスドイツに対して強硬姿勢を取ったという点で名声を得ているように思います。, チェンバレンの対ドイツ宥和政策について思いを巡らせながら、映画を見ると、世界史の重大な局面に至る会合を覗き見ているような緊迫感があります。, 見方を変えると、スティーヴンスも、会合をうまく回す執事の役目を果たしながら、世界史を裏で動かしていたとも言えるでしょう。, とにかく、1人の執事の話というだけでなく、全世界を翻弄しかねない超重要な会合の場面が見どころです。, 「執事の目を通した、世界を揺るがす出来事へのアクセス」というスケールの大きさが、この映画の見所とも言えるでしょう。, スティーヴンスとミス・ケントンは、最終的に結ばれることはありませんでしたが、互いに好意を抱きながらも、歯車が噛み合わないということはあるだろうなと思わされます。, 映画の中で、ミス・ケントンがスティーヴンスに対して、あなたは仕事の気が散らないよう、なるべく美しい女中は雇わないようにしているのではないか、と言う場面があります。, これは、私の推測ですが、スティーヴンスは、本当は男性が好きだったのかもしれませんし、ただ単に女性に対する勇気がないまま歳を取ってしまったのかもしれません。, そんなスティーヴンスという男性に惹かれてしまったミス・ケントンも哀しかったことでしょう。, こういう自分の気持ちを見せないまま不発に終わる関係性、すごくイギリスっぽいなと個人的には思いました。, 先ほども述べたように、第二次世界大戦前夜の重要な会合の場を覗いているような気分になれますし、世界史特に現代史が好きな人には特におすすめです。, ナチスドイツを描いた映画は沢山ありますが、同時代のイギリスの様子を執事の目を通して描いた作品はなかなかないと思います。, この映画のジェームズ・アイヴォリー監督は、最近では、「君の名前で僕を呼んで」の脚本を書いたことでも注目されました。, 監督としても、大ヒットした「眺めのいい部屋」でアカデミー賞の3部門を受賞したり、「モーリス」という作品でヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞を受賞しました。, 「ハワーズ・エンド」ではカンヌ国際映画祭35周年特別賞を受賞したりと、巨匠と言ってもいい人物でしょう。, そんなジェームズ・アイヴォリー監督の手にかかったノーベル賞作家が原作の小説ですから、素晴らしくないはずがありません!, 私は、年間恐らく約200本近く映画を観ていますが、ここまで高貴で繊細な素晴らしい作品にはなかなか出会えません。, 忙しい現代社会において、ここまでゆったりとした時間が流れながらも、それが世界史の大きな潮流に巻き込まれていくような壮大なストーリーの映画を見るのは、大変癒しになります。, 大ヒットを狙って作られた娯楽大作では、心の底から満足できない…と言う紳士淑女の皆さんに特にオススメします。, いくらプロ意識が高いとは言え、魅力的な女性が自分に好意を示しているのに、逃げるということは同性愛者なのかなと思いました。, (ちなみに私はゲイの友達が欲しいな、と長年思っていますが、自分が女性ということもあり、なかなか出来ません。), さて、そんなこんなで、世界史に詳しくなくても、十分楽しめる映画ですので、是非ご覧になってください!, ワンランク上の考察!映画ヘルタースケルターはなぜ今観ると面白いのか?!【あらすじネタバレ】.